ぼくの美しい人だから

でこぼこの愛

二人はジャクスン・パークの緑こぼれる芝生のはずれに立っていた。
サラは彼の正面で腕を組んだ。
微風が白髪まじりの髪のすきとおった輪郭をかすかに乱した。
「あなたにききたいことがひとつあるわ」
「どうぞ」
「もし神がいるとしてだけど、神はわたしたちをお好きかしら?」
マックスはほほえんだ。
「さあどうですか」

「あなたの驚くような話をしましょうね。
私は神様を信じてるの。
といっても愛想のいい、親戚の叔父さんみたいなサンタクロースのイメージではなくて
全知全能の神様よ。
もちろん神はわたしたちをお好きではないわ。
それはそうよね、好きになる必要がないもの。
でも神はわたしたちを支えてくださっている。あなたと私がここに立っているのが証です。
神がささえてくださるのは、わたしたちが腕をとりあうほど仲がいい友人同士だからではない。
神がささえてくださるのは、わたしたちを愛してくださるから。わたしたちが神の子だからよ。
そうなの。ほかに何も条件はないわ。
誰もが他人に好意を抱くとか、好きになることを過大視しすぎます。
人の世に生まれ落ちたとき、あなたは人のなかに投げ込まれたのと同じ。絶対に選ぶことは出来ない。
両親、子供、奇妙な縁に結ばれて恋をした相手、友人の一人か二人。
こうした人は自分では選べない。
だからこそ、愛する義務があるのです。
でも、だからといって好きになったり、尊敬したり、気に入る必要はないのよ。
もし、そうしなければ愛が成立しないなら、愛にどんな価値があるというのかしら」

ぼくの美しい人だから(グレン・サヴァン)
by donburakon | 2013-06-13 20:03 | 本・映画・アート | Comments(0)